中央本部:貨物「2021年度夏季手当の妥結」にあたって

2020年度・本部闘争指示第53号の要旨、掲載

(1)貨物会社は6月17日、「2021年度夏季手当の支給に関する申し入れ(国労闘申第13号)」に対し「基準内賃金の1.77箇月分、7月7日支払い」と回答した。

「2020年度決算はコロナ禍にありながらも11期連続の黒字を確保する下で、自然災害やコロナ感染症拡大の中でも収入改善に奮闘してきた社員に報いることなく、コロナ禍による経済不安を社員に責任転嫁するものである」


①.自然災害や「新型コロナウイルス」の影響による「先行き不透明」を理由とした、低額回答ありきの姿勢に終始するものである。②.昨年度決算は、コロナ禍にあっても11期連続黒字を確保する下で、社員と家族の厳しい生活実態をまったく顧みないものである。③.新型コロナウイルス感染症の危険にさらされながらも「指定公共機関」の使命として安全・安定輸送に努力する社員の感情を逆撫でするものである。
④.経営に影響を与える数々の根幹問題を先送りし、社員犠牲の経営を続けている経営陣の責任は重大である。と厳重に抗議し低額回答に対して、全国の職場から抗議行動を展開してきた。


(2)今、夏季手当の闘いは、5月14日のJR各社一斉申入れ以降、6月17日の回答まで4回の交渉。
「賃金・生活実態アンケート調査」の結果に基づく要求の正当性を明確にした団体交渉を強化。宣伝行動、夏季手当カベ新聞、独自ビラ等の発行、現場長申し入れ、中央の交渉に呼応した本社・支社・支店への要請行動、全ての社員を対象としたオルグ活動など、創意工夫した取り組みを全力で展開。

(3)夏季手当「1.77箇月分」の回答は、前年比で0.02箇月分上回ったものの、昇給の7月実施に伴う旧基準内賃金ベースであり、かつ、人事制度により家族手当が基準内賃金から除かれた中での結果であり、極めて不満の残る回答である。

(4)社員犠牲を繰り返す会社の攻撃の中で、慢性的な要員不足により年休も消化できず、不満は増大し将来への展望が見いだせない状況となっており、これ以上のモチベーションの低下は鉄道固有の技術継承など安全問題にも関わるものである。

この現状を打開するためには、蔓延する諦め感の払拭と、学習の強化が何よりも重要であり、要求の多数派から組織の多数派を展望し、「全ての職場からもう一人の仲間」を迎える運動を強化しなければならない。加えて、JR発足から34年が経過する中で、国労が繰り返し主張する「構造矛盾の解決なくして鉄道貨物輸送の真の発展はない」ことを改めて確信にするとともに、この間、幾度にわたり提起してきた『鉄道貨物政策提言』に確信を持った運動の展開が重要となっている。

(5)本部は本日(6月24日)、夏季手当における闘いの経過と課題を明らかにするもとで、組合員・家族の生活等を考慮し「2021年度夏季手当」について妥結することとした。夏季手当満額獲得に向けた全国からの奮闘、創意工夫した取り組みに改めて感謝しつつ「2021年度夏季手当」の妥結にあたっての本部見解とする。