長時間にわたる討論お疲れさまでした。集約に入る前に・・・
コロナ禍の中ではあるが、地方本部として不十分ながらこの一年間分会集会や仲間の集まりに参加するなど、仲間の顔を見ながら、今職場で何が起きているのか、どんな事が問題となっているのかなど、組合員の声を丁寧に集め、執行委員会にそれぞれが持ち寄り、議題の一つ目として議論し、その議論経過と仲間の切実な声を大切にしながら地本全体の運動の前進に向け歩んできた。職場には会社の意図や施策の目指すところを見抜きながら事前にその対策を議論し職場全体のものとするために努力している仲間がいること、職場の労組未加入労働者やグループ会社のプロパー社員の不満や悩みを聞きながら、その解決に向け一緒に頑張ろうと切磋琢磨している組合員がいることに誇りを感じた一年であった。
経過、方針に対し9名の代議員から発言をいただいた。何点かについて地本への要請・要望・意見等があったので、地本としての考え方も含め、答弁しながら集約に入りたい。
*加藤書記長集約
1点目として組織強化・拡大の闘いについて
発言代議員は、
秋山代議員:分会活動を意識してもらうため、書面での職場集会で要求集約、組合員をどう集められるかを前提に、分会再編の分会再編の議論を
竜崎代議員:安全衛生委員会の議論を報告しながら組織拡大の取り組み子育て世代の社員から育児制度に不満の声多い。
永野代議員:集まる場つくりや分会活動に苦慮している実態の報告。
東平代議員:青年との関わり、職場に労働運動を残す取り組みで加入を呼びかけ、組合の必要性を訴えている。
寺林代議員:若い社員との経験を語る会として、組合説明会を開催、分会レクにも声掛けしている。
越川代議員:分会での組織拡大の取り組み、会社の労務施策を訴えている
JR東日本で働く労働者の7割を超える社員が、労働組合に未加入という異常な状態は今も続いている。一方、会社主導で設立された「社友会」の存在目的は、会社幹部と交流することで社員の悩みや不安、意見を共有し様々な改善をすることにあるとし、昨年、支社管内44の社友会が「千葉社友会」として一つに合流したが、会社の経営のパートナーとして持続的成長に寄与することをも目的と謳っている。春に行われた「社員代表選挙」の際には、多くの職場で集まりが持たれ、支社幹部との「意見交換」と称した集まりも企画されていたが、選挙に向けた票固め、意思統一の場でしかなかった。案の定、それ以降大きな動きもなく、彼らが言う「社員の不安や意見を共有し改善する」ことすら実行されていない。新入社員をはじめ若い社員は労働組合に加入した経験もなく、労働組合の必要性やその重要性さえ知らない。ある弁護士は「過半数を超える労働組合がない鉄道会社に安全は担保できない」と危機感を訴えている。まさしく現在のJR東日本は会社の思うままの施策を矢継ぎ早に提案し、反対勢力が少数とみるや即座に実施している現状にある。労働組合ではない「社友会」等の親睦団体では労使対等の団体交渉さえできないことからも、労働条件を改善するためには労働組合が必要であり、そうしたことを訴え理解を求める中で、ともに闘う仲間を増やしていく、そのことこそが喫緊の課題。
本日の大会において「一部規約」の改正も承認された。今後、現状に見合った組織の体制強化に向けて、分会組合員の要望や実情を見極めながら、柔軟な分会再編ができることとなる。組織の現状と今後の展望を鑑みて、より具体的に進めて行くこととするので協力いただきたい。
地本は分会集会等にも参加し、泥臭い運動を繰り返し粘り強く取り組んでいる分会の取り組みや、仲間を大切にする運動を分会全体で取り組んでいる事を共に学んできた。社員代表選挙勝利に向け、合同で職場集会を開催し丁寧に意思統一している分会や、定期的な集まりの中で職場の問題、仲間の苦悩、悩み、不安を共有する事で何が問題なのか、どうすれば解決できるのかを議論している分会もある。グループ会社のプロパー社員の声を集め、仕事の仕組みや労働組合としての会社への対応を説明しながら、少しでも労働組合に関心を持ってもらおうと努力している仲間の取り組み、そうした愚直な取り組みが展望の持てる組合活動につながっている。
各職場で拡大に向けたさまざまな努力をしていることは言うまでもないが、職場社員代表選挙の結果にも表れているように、私たち国労への期待は非常に大きいと感じている。次期社員代表選挙の取り組みについては早々に拡大分会長会議等の機関会議を開催し意思統一をする事となるが、あらためて「職場に労働運動」を合言葉に組織の強化・拡大という目的意識を持ち、機関会議・分会集会での意思統一を重ね、組織的な対応をする中で「組織の拡大」運動を取り組むことが重要だ。分会執行委員会・非番者集会など、先ずは集まる場を設けながら機関運動を強化する。そして、地本執行部が精力的に各分会の集まりに参加し情勢認識を共通のものとしながら、更なる運動の強化に結び付けて行かなければならないことからも、職場オルグの実施や組織対策会議等を開催し、地方本部の運動がより理解されるよう取り組みを強化していくこととする。
2点目として「労働条件改善の闘い」について
発言代議員
十文字代議員:分会集会を開催し、職場要求集約している、JESS職場の環境改善を要求、社員代表を意識的に活用していきたい。
竜崎代議員:社員代表選挙の取り組みでは、他労組との共闘を実現。安全衛生委員会としての活動をアピール。新JINJRE導入問題では、今までのルールがなくなると危機感を感じている、駅の改札窓口無人化に向けた動きがあるが、サービスの低下だ。
佐藤代議員:グループ会社の実態で「コロナウイルスワクチン」接種後の勤務の問題、教育・訓練足りなくプロパー社員が育たない。
永野代議員:除草作業の削減、知識のない駅社員の作業は危険、会社の認識が甘い、線路閉鎖作業では、ルールを知らない経験不足の指令員が多い、団交での確認事項を守らせることが重要。
東平代議員:女性乗務員から時短勤務の改善を求める声が多い、統括センター(拠点化)提案の動きはあるか。
寺林代議員:拠点センター廃止に伴う労働条件のへ変更で労働強化、要求集約している、エルダー出向職場の実態では、JR会社に引き続き出向職場の要求改善を求めてほしい、コロナワクチン接種の職域接種にエルダー出向社員を入れるよう要求を。
市原代議員:ワンマン運転導入で獣害対策しているが効果はないに等しい。
越川代議員:貨物の現状、地震などの異常時の対応で乗務員が足りないと臨時勤務多発、このままでは安全が守れない
運協関係では、みどりの窓口、びゅうプラザの閉鎖・駅の無人化の拡大そして、業務委託駅の更なる拡大、駅遠隔操作システム導入等で要員合理化が推し進められている。また「ワンマン運転拡大導入」にみられる「安全や安心」さえも利用者から奪おうとする施策も実施されている。また工務協関係では「モニタリング検査」など、「安定輸送」さえも危惧される施策が矢継ぎ早に実施されている。こうした利用者・交通弱者への「サービス低下」「利用者の声を無視した」施策に対して、施策実施反対の私たちの主張を地域へ訴えていかなければならないと考え、定期的に千葉駅頭等での宣伝行動を実施してきた。今後は多くの分会組合員にも参加しやすい大衆行動の展開をめざすこととする。また、千葉支社をはじめ、グループ会社の地方機関との労使交渉を積極的に進める中で、しっかりと会社施策を検証しチェック機能を働かせ、施策の撤回や改善を求めていくこととする。貨物職場からの報告にもあるが、「新しい人事制度」による賃金削減攻撃に対しては、組織問題と併せ地本として貨物協議会・分会と協力して具体的な行動提起をしていくこととする。いずれにしろ、節目節目には拡大分会長会議等を開催し、職場の皆さんと丁寧な議論を重ねながら、多くの労組未加入労働者に対して各職場から創意工夫したアクションを起こし、労働組合の必要性を訴えながら、会社施策にしっかりとメスを入れていく、そうした取り組みを強化する事とする。
3点目として、春闘をはじめとする、生活向上に向けた取り組みについて
発言代議員
東平代議員:定期昇給カットに若い社員は怒っている。
越川代議員:貨物の新賃金制度の改善を
コロナ禍の影響を受け、会社は「大幅な減収」を声高に掲げ、賃上げなどもってのほかと言わんばかりの社員周知を続けているが、「賃金は、労働力の再生産費」であることを再度確認し、生活できる賃金と賃金制度の改善を勝ち取らなければならない。「賃金・生活実態アンケート」の集約で明らかなように「切実な生要求額」であるベア獲得を目指す。とりわけ貨物会社の「超低額回答」打破の取り組みを強化する。
大企業の内部留保を労働者に還元させ、生活できる賃金要求を勝ち取る。そして2021春闘での「定期昇給カット」などの労働者の勤労意欲をそぐような春闘には、怒りを持った大衆行動とストライキを配置し闘うことを確認するとともに、今後も本部・エリア本部に対して要請行動を取り組んでいくこととする。特に現在職場には多くの労組未加入労働者が存在している状況にあることからも、2022春闘は労働組合のあり方が問われる春闘となる。今こそ、労働組合の存在感をアピールするための大胆な行動が求められる。労働組合らしく賃上げだけでなく労働条件改善にも力を入れなければならない。社員代表選挙の取り組みを通しての「安全衛生委員会での主体的な取り組み」や「日ごろからの職場点検運動」などで会社に改善を求めることと併せ、定期的に対策会議等で意見集約しながら学習と事態調査を行い、会社に改善を求めて行くこととする。グループ会社のプロパー社員や非正規労働者の待遇改善は労働組合による組織化と一体的に取り組まなければならない課題であるだけに、労働条件全体の底上げをするためにも重要な取り組みと認識し、その取り組みの強化を図る。
4点目として、「地域住民の足を守る運動」の更なる展開について
発言代議員
市原代議員:地域運動の報告、台風の爪痕が残る久留里線沿線の利用者の声、ワンマン運転導入後の利用者の声を集め、自治体との意見交換を実施予定、また宣伝行動も実施している
「JR利用者アンケート」の集約結果にも現れているように、多くの利用者は現在のJR施策に対し、不満や不安を抱いている。特に「安全」を脅かす施策については、危険性さえも訴えている。
会社は、「少子高齢化や生産人口の減少」で、効率化施策は待ったなしで実行しなければならないとしている。更には「コロナ禍」での大幅な減収を理由として、会社存続のためにもあらゆる「経費節減」で黒字必達を最優先とし施策を進めるとしている。そこに利用者への「サービス向上」や「安定輸送の品質向上」という考えはみえない。社員を介さないサービスの向上、安全への設備投資を声高に言うが、一部利用者へのサービス向上では、今より更に「公共性」が危ぶまれる。今後も国労千葉地本の総力を駆使し、様々な視点から検証を続け、多くの利用者や自治体などとも連携する中で、地方公共交通の再生に向けた取り組みを強化していく。
集約の最後に
急速な世代交代が進む中、国鉄時代を知るベテランが培ってきた工夫やコツといったものを継承、共有しないままでは、業務はうまく回らない。豊富な経験をどう伝えるか、組合運動同様に我々に課せられた課題は非常に重要かつ、喫緊の問題だ。会社は、何とか効率化という人員削減で乗り切ろうとしているが、それが安全を損なう事にはならないだろうか、利用者のサービス低下、交通弱者と言われる方々に不便を強いる事にはならないか、労働組合としてしっかりと検証し追求の手を強めていかなければならない。
本部提起の「国労の課題と方向性-今後の5年を見据えた組織ならびに運動の展開」をより丁寧に議論していく中で、国労運動や組織を次世代に引き継げる取り組みとそのビジョンを地本全体で議論し、将来展望を持って取り組んでいくこととする。いずれにしろ、私たちに課せられた課題は山積している。職場、分会組合員との思いに乖離があってはならないことからも、組合員の声に依拠した運動でなければならない。今後も運動の軸足をしっかりと根付かせ、職場オルグの定期的な実施で、職場組合員との意思の疎通を図ることとする。
今大会で出された意見、要望をより具体化する中で、春闘での大幅賃上げの獲得、労働条件の改善、利用者サービスの向上に向け職場・地域からの団結で、組織拡大を展望した運動の再構築を目指すことを確認し、微力でも一歩ずつ着実に前進していかなければならない。地方本部は向こう一年間の闘いの先頭に立って、職場の組合員とともに全力で取り組むことを訴え、第75回定期地方大会の集約とする。