国労本部電送№ 76から掲載

2021 年 11 月 11 日

<貨物会社>年末手当交渉

第 3 回年末手当交渉「現時点の会社の考え方」として

会社=「昨年 2020 年度年末手当の水準を上回れるように検討していく」組合=「コロナ禍で奮闘する社員の労苦に応えた回答を!」

本部は本日(11 月 11 日)年末手当第 3 回交渉を行い、「現時点の会社の考え方」を受けて協議した。

会社の考え方

2021 年度は「JR貨物グループ中期経営計画 2023」のもと、総合物流企業グループへの進化、不動産事業のさらなる発展等の取組みを進めてきた。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う生産活動停滞による需要低迷及び、7月以降大雨による列車運休が発生し、秋雨前線の影響により、24 日間に亘り中央線・山陽線が不通となり、多くの貨物列車の運休を余儀なくされた。中間期の輸送量実績は、コンテナは 8,968 千トンで対前年半期▲10 千トン、(コロナ禍の需要減、大雨災害はあったものの新たなブロックトレインの運転など)車扱は 3,481 千トンで対前年半期+22 千トン(春先の気温が高く灯油の発送減であったが、セメント・石灰石が堅調)とコンテナ・車扱計全体の輸送量は、12,449 千トンで対前年半期+12 千トンとわずかではあるが前年を上回った。

下期に入り新型コロナウイルスの陽性者数も激減し落ち着きを保ちつつあるものの、第

6波の懸念は残る状況ではある。コンテナについては、地震や変電所の火災等の災害及び一部積み合わせ貨物、自動車部品、北海道地区の農産品・青果物の減収などが影響している。車扱については石油出荷の低調、気温の低下に伴い灯油は堅調に推移している。

しかし、外需の持ち直しにより一部企業に業績改善がみられること、ワクチン接種者に対する行動制限解除が検討されていることなど、経済活動回復の兆しが見え始めている。

会社としては、カーボンニュートラル及びトラックドライバーの時間外労働上限規制対応のための鉄道利用メリットの販売促進、総合物流事業への本格的な取り組み、引き続き関連事業収入の確実な計画達成を目指す。

経費面においても、お客様需要や積載動向に合わせた列車の運転、輸送機材の効率的な運用、リスクシナリオ等の収支改善策で収入・経費両面をしっかり実施し、10 月期改定計画達成に取り組んでいく所存である。

以上、会社としては現時点では「2020 年度年末手当の水準を上回れるように検討していく」、との考え方を示した。

(組合)会社は今年度夏季手当交渉の際に、支給基準として昨年の夏季手当ではなく、年 末手当を持ち出し、今年度の年末手当については、再び昨年度の年末手当を基準に するという現時点の考え方を示している。会社の主張は整合性が無く、意図的に低 い水準に合わせた場当たり的な発想であると言わざるを得ない。何を以って今回は、昨年の年末手当水準としているのか。

(会社)期末手当の考え方として、生活給の要素があることは否定しないが、一方で業績の反映であることも事実であり、4 月から 9 月までの直近の営業実績を基に昨年の年末手当の水準からどれだけ上回れるかを検討中である。

(組合)コロナ禍の影響により、経済が低迷しているのは事実であるが、一方で物流を取 り巻く状況は巣ごもり需要を背景に堅調に推移しており、持ち直しの兆しが見えて きている。政府をあげて、経済対策をはじめ賃金の底上げを提唱しており、CO2 削減をはじめとした環境問題が叫ばれる中、貨物会社の優位性が高まることは明らかで あることからも先行き不透明とはならない。設備投資を確実に推進するのであれば、同時に社員への投資も行うべきである。

(会社)今後の収入の持ち直しを含め、関連事業からの収入も確実に上げて行かないと考えている。

(組合)社員はこの間黒字を確保しても、その実感が得られるような期末手当の支給を受 けておらず、努力しても報われないと不満が増大し、やる気がそがれる中で日々の 業務を行っている。最高益を繰り返しても、期末手当に反映されたことが無く、不 信感だけが募るもとで退職を選択する若い社員も見受けられる。今こそコロナ禍で 危険と隣り合わせで奮闘する社員の労苦に報いることが貨物会社に求められている。

(会社)新型コロナ感染症の状況もあるが、会社としては経常黒字を目指している。経営陣に対しても組合の主張については報告している。

(組合)会社として現状の経営状況等を鑑み現時点についての考え方を示したが「厳しい環境下においても指定公共機関として、昼夜を問わず奮闘する社員に対し期末手当で応えることは当然である。この間の会社姿勢は経営課題を前面にしたものでしかなく、社員には我慢を強いているだけである。社員犠牲で経営を続けている現状が不満ややる気が起きない根本原因であり、社員は正当な分配がされないことで疲弊している。社員に報いる姿勢が全く見られない本日の考え方は論外であり「再考を求める」。

(会社) 社員のおかれている現状や生活実態など、貴組合からのこの間の主張は経営に伝えてきている。引き続き社内議論を進めていきたい。

以上