千葉地本選出・全国大会代議員 加藤(地本書記長)

 1・地域公共交通再生に向けた取り組みについて

 千葉では3月「ダイヤ改正」でワンマン運転が拡大導入されたが、地元利用者からはその安全対策に疑問視する声や防犯対策などへの「不安」の声が多く寄せられてる。昨年12月「交通政策基本法」が7年ぶりに改正された。今回の改正法の趣旨は「赤字路線への補助は行わない」というこれまでの運輸行政のあり方を転換し、「地域社会の維持及び発展の観点」が明記されたことは大きな成果だ。この間、地方本部に「地域公共交通対策委員会」を設置しあらゆる観点からこの問題を議論、地本執行委員会において具体的に検討する中から、地域住民や地方市議会、政党などにも協力を得ながら、この取り組みを広範に進めてきた。また、地方本部全体の運動にすることを目的とし、各地区別に担当者を選任し、各地区の担当者会議を重ねながら、定期的な千葉駅頭での宣伝行動をはじめ、各地区の駅頭での宣伝行動を分会組合員や政党、共闘の仲間とともに実施してきた。また、「ワンマン運転拡大導入」が提案・実施された内房線や外房線沿線の市議会議員に議会での質問等を要請するため、三役を中心に執行委員が定期的に関係議員と意見交換をおこない、この運動への理解を求めてきた。そうした取り組みの中で、館山市議会では12月議会において「JR内房線におけるワンマン運転について、住民や利用者への説明をおこない、安全性が十分に確認されるまで導入しないことを求める意見書」が全会一致で採択され、国土交通省や千葉県知事に提出された。昨年の秋から、「公共交通機関」としてのJRに対する利用者の声を収集するため「JR利用者アンケート」を開始。駅頭宣伝行動時や国労千葉地本ホームページ、郵便はがきなどを活用しアンケートを実施している。更には政党や県内主要な労働組合にも要請し多くの利用者に協力いただいた。今後は集約した「利用者の生の声」を千葉支社との団体交渉や自治体等の要請に活用することを検討している。私たち国労は「国鉄の分割民営化」以降、利潤追求の施策のもと、地方ローカル線が次々と廃止され、街が滅びていく様を目の当たりにしてきた。地方経済の衰退や過疎化の責任はだれも取らない事も見聞きしてきた。そうした事を利用者や地元住民の方々に訴え、この運動を広げて行くためにも、今後は更に地区ごとの取り組みを充実させていくために、地本執行部が精力的に地区担当者会議の開催を促しながら、共闘の輪を広げることと合わせ、地区ごとの特情を活かした運動の展開に努めることとする。

2・オリンピック開催について

東京に4度目の「緊急事態宣言」が発令された。そうした中でも「東京オリンピック」が開催されようとしているが、当初から大会成功のカギは公共交通機関にあると言われていた。JRで働く私たちはいわゆる「エッセンシャルワーカー」として、いのちを賭して働いてきたが、人の移動が感染拡大の大きな要因であることは間違いない。多くの国民は大会そのものの中止を求めているにも関わらず、東京を中心に無観客での開催となったが、「開催にかかる費用を支援に回せ」が国民の本音ではないか。「新型コロナウイルス感染」を拡大させないためには、大会中止しか有効な手立てはないことからも、労働者の「生命と権利」を守る立場で、緊急事態宣言下での開催に対して、国労本部として開催中止の態度表明をすべきではないか。「今更反対しても、競技がはじまれば、祝賀ムードとなり、やっぱりやってよかったと雰囲気は一変する、そして菅首相は『コロナに打ち勝った』と宣言、内閣支持率が上昇し総選挙の勝利につながる」、これが政府のシナリオだろうが、廃業を余儀なくされ、雇止めにあった労働者は数十万人に上る今も、メッセージ性のない答弁を繰り返す菅首相や、有効な対策を持たない無用な政府に対し、労働者の生命と権利の守る立場で「開催に反対の声明」を発するべきではないか、本部の見解を求める。

3JR各社の一時金交渉について

今夏の一時金は、JR各社とも前年をも大きく下回る結果となった。年収ベースでは10%程度の減収、しかも東日本会社は定期昇給までも半減してきた。そうした中でも東日本会社は株主への配当は前年を下回る額とはいえ実施している。本社交渉では内部留保された利益剰余金を今こそ切り崩し、社員の努力に報いるべきと主張したが、私たちの声に耳を貸す姿勢すらなく妥結せざるを得ない状況が作られた。今、多くのグループ会社を有する企業となったJR各社における、賃上げ交渉や一時金交渉の行方はそのグループ会社への波及効果は大きく、グループ会社自体の収支は好調でもJR本体の回答を上回る回答を出すことはほぼない。それ故に国労のJR本体との交渉内容は私たちだけのものではなく、グループ会社含め多くの労働者の生活に直接影響することからも、決して少数組合と卑下することなく、これからも労働者の代表という立場で会社施策に鋭くメスを入れていくことが必要だ。東日本会社内では労働組合への加入率が全体の3割という状況で、労働者の声が会社に届きづらい現状の中、職場は要員削減と効率化が進められ、精神的にも追い詰められる労働者が増加している。こうした厳しい状況にも関わらず、国労に加入した仲間の勇気に報いるためにも、職場・地域から運動の裾野を広げられる取り組みの強化に努めることとし、発言とする。