第75回定期地方大会に参加された組合員の皆様大変ご苦労様です。執行委員長の井村です。大会開催にあたり挨拶を述べさせていただきます。
まずは、コロナ禍の中で感染者も減少してきており、緊急事態宣言も解除された中ですが、コロナウイルスが絶滅したわけではなく、いつまた感染が広がりを見せるかわからない状況で、今回の大会も来賓の皆様の参加要請を見合わせ、傍聴者の参加も遠慮いただき、短時間での開催にご理解をいただき感謝申し上げます。
2年間に及ぶコロナ禍の中で東日本会社の経営は初めての赤字経営を余儀なくされました。この赤字の結果と将来的な人口減少をにらんだ会社経営方針の「変革2027」の前倒しで大合理化が強行され、更なる人減らしと「働き方改革」に名を借りた労働強化の施策が押し寄せようとしています。現在明らかになっている施策でも駅のみどりの窓口の廃止、営業時間の変更、また、乗務員でも早め出場、移動時間、付加時間の見直しで会社は「働きやすさやすさの向上」とうそぶき、ノーワークノーペイの領域を拡大し、少しでも会社の利益を上げようとしているのが明らかです。
貨物会社においても赤字とはならない経営でしたがこの間の賃金・一時金の削減・抑制による社員に犠牲を強いた経営施策と新人事制度による弊害が職場の中に広がってきています。
今春闘は5000円の賃上げ要求に対し、東日本会社はベアゼロとともに、JR他社にも見られないような定期昇給の5割カットと今までにない回答を行ってきました。会社の赤字攻撃に負けない、賃金は労働力の再生産費である認識を持ち、会社の赤字攻撃に反論し満額獲得に向け、2022春闘を職場からの闘いで勝利していかなければなりません。そして何よりも、なぜ会社はこのような他社にない春闘回答を行ってきたのか。それは、東労組の瓦解に始まり、会社が社友会発足を指導し、労働組合を形骸化させ、会社に言いなりなる社員を作り出し、物言う社員・労働組合の排除をもくろんでいることが明らかです。
あらためて、労働組合の必要性、共に働く労働者の不平・不満を丁寧につかみ、労働運動、国労運動に共感を求める取り組みが求められていますし、社員代表選挙での国労組合員数以上の票を獲得しているのがその大きな結果として表れています。
千葉支社は今春のダイヤ改正において、ワンマン運転の拡大、駅における合理化拡大、駅の営業時間短縮で安全とサービスを切り捨て、公共交通を担う会社として許されない施策を行っています。
地本として地域公共交通対策委員会を立ち上げ、各地区集会、駅頭宣伝、利用者アンケートを取り組み多くの反響が寄せられました。館山市議会では鈴木順子議員がワンマン運転の安全が確認できるまでワンマン運転を導入しないよう意見書を提出し、全会一致で可決、国土交通省、県知事、JR千葉支社に届けられました。
ワンマン運転についてはマスコミでも安全に対する懸念がされ、我々の取り組みが利用者・大衆へ広がっている成果を確認したいと思います。しかし、ワンマン運転拡大早々に利用者が降車時に骨折し大けがを負い、またドアに挟まれそうになった事象を千葉支社は公表しておらず、後日マスコミによって報道されるなど許される行動ではありません。JRで働く私たち自身が会社の施策の問題点を住民・利用者に訴え、その声をつかみ、会社へぶつけ、安全安心・サービスを守る運動を今後も続けていかなくてはなりません。
現在、私たちの組合員の多くはJR本体とは別の職場で働かされています。その労働環境、労働条件は大変厳しく、共に働く労働者には労働組合も知らないプロパー社員が存在しています。同じ職場で働く仲間として職場、生活の不満に耳を傾け、国労の良さである思いやりと支えあいで労働者の絆を作り出し、共に闘う労働者として安心して働き続けられる職場つくりと、労働組合、何よりも国労組織への共感者を作り出していくことが求められています。
そして現在私たちが生活しているこの日本の社会ですが、先日14日衆議院が解散されました。発足間もない岸田政権は、単なる自民党の総裁選挙において、菅総裁がコロナ対策の失政から選挙に勝てない総裁とみなされ、立候補の断念を余儀なくされ、派閥力学により、背後で蠢く安倍・麻生によって誕生させられた安倍政治を受け継ぐか傀儡政権でしかありません。長く続いた安倍政権、それを引き継いだ短命の菅政権も、自由主義経済のもと独占資本と富裕層優遇政策を取り国民の貧困と格差は広がり、コロナ禍に乗じて国民を規制する憲法改正をも目論んできました。また、戦争のできる国づくりを推し進め、アメリカからの武器爆買いと、いつ墜落してもおかしくないオスプレイが日本の空のみならずこの千葉県の空への危険も拡大しています。また、沖縄辺野古の新基地建設を県民の声を無視して強行しています。さらには今年1月に発効した核兵器禁止条約を批准しないのは唯一の被爆国として世界の恥と言って過言ではありません。
あらたに発足した岸田政権は多数の初入閣者を選出して新鮮さを演出し「新しい資本主義」を謳い労働者への賃上げなど分配を訴えていますが、具体的施策はなく、一方で森加計、桜、河井夫妻疑惑、鶏卵疑惑、そして菅総理長男の接待疑惑など何ら説明することなく国民を愚弄しています。31日投票日を迎える総選挙で何としてでも政権交代を勝ち取り、国民主体の政権を確立しなければなりません。そして、今まで述べたすべての取り組みを目に見える取り組みで国労運動の強化・拡大に結び付けることが求められています。
最後に、今大会で代議員各位の職場実態、仲間の声から怒りを明らかにし、闘う根拠と方針の豊富化を図り決意を固めあう大会になるよう要請し、大会開会に際してのあいさつとさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
2021年10月16日 国鉄労働組合千葉地方本部第75回定期地方大会
千葉県教育会館にて