中央本部はJR貨物と「2021年度夏季手当の支払いに関する申し入れ」(国労闘申第13号)、第3回目の交渉

国労本部電送№226・発信日2021年6月10日〈貨物〉団体交渉速報より掲載。

会社=「昨年冬の期末手当をどの程度上回るか検討」と表明!
組合=コロナ禍で奮闘する社員に報いる為にも国労要求3.0カ月分に応える体力は十分にあると強調!

交渉では、貨物会社の夏季手当に対する現時点での考え方についての説明があった。

「会社の現時点での考え方」

2020年度は、鉄道ロジスティクス事業の業務刷新と収支改善の継続、更なる成長と発展に向けた各種施策を展開した。しかしながら、新型コロナウイルス感染症に伴う需要低迷、「令和2年7月豪雨」、北日本・日本海側を中心とした暴風雪による影響を受け、鉄道運輸収入は大幅減収となった。これらの結果、経常利益は単体で+0億円、連結で+14億円と黒字はなんとか確保できたものの、対前年で△70億円超を失った。2021年度に入って、新型コロナウイルス・景気については引き続き不透明であり、収入動向についても5月を終えた時点で、運輸収入は、コンテナが91.7%(△15.9億円)。車扱が95.3%(△0.8億円)。コンテナ・車扱合計で92.0%(△16.8億円)と計画を大きく下回っている。6月に入り、車扱が若干計画を上回っているものの、コンテナ・車扱合計で91.8%(△2.7憶円)、年度計で、約△20億円と計画を大きく下回っており、引き続き先行きが見えない状況になっている。経費についは、現時点で具体的な数字はないが、輸送量に応じた輸送力変更(曜日運休の拡大や編成減車等)を実施しているところである。

また、前回の交渉で貴組合の趣旨説明についても社内に報告、しっかりと議論したところである。コロナ禍の影響も昨年5月頃の収入の大幅悪化から、12月に向けて全体的には回復傾向にあったが、1月以降の感染拡大・緊急事態宣言により、4月はほとんど昨年4月と同様な水準にまで逆戻りした。昨年度は何とか経常利益を確保できたものの、一昨年度と比較して大幅に減益となっている。一方、コロナ対策が長期化していることに対し、尽力していることは検討に織り込んでいきたい。という考えのもと、

「昨冬の水準をどこまで上回るようにできるか検討していく」と説明した。

【会社より説明を受け、以下のヤリトリを行った。】

(組合)収入動向については、2020年度決算でコロナの影響と自然災害の影響から大幅な減収となり、当初計画から大きく後退する利益となったが黒字を確保し、11期連続の黒字の決算であった。その中で社員は指摘があったようにコロナ禍の中、指定公共機関として奮闘してきたことは事実であり、その頑張りが黒字の確保となっている。そのことからも現時点の会社の考え方は、事業計画ベースでの考え方であり、業績の還元を含め、下期に向けた社員の奮闘を期待するのであれば、当然昨年夏が最低のベースであることは間違いなく、現時点の考え方には値しないものでしかない。

(会社)事業計画を基本にしていることは指摘の通りである。今年度も4・5月の収入は2019年度比からも落ち込んでおり、昨年度は最後まで収入確保に努め、12月には△2%辺りまで戻してきたが、再度の緊急事態宣言の発出で落ち込みが厳しいものとなり、逆戻りしてきたのが事実である。この状況が今日まで続いていることからも7月改定ではコロナを見込んだ見直しを図らなくてはならず、厳しい実態に変わりはないことからも、現状の考え方となっている。厳しい状況であるが、その中にあっても当然社員にどのように還元できるのかを今後回答までの期間で社内議論をしていかなくてはならないと考えている。

(組合)第2回交渉で営業は、「コロナの影響は依然続いているがワクチン接種を行渡らせるとの報道もあることから、影響が減少するのは年度末ではないか」との認識を示しており、先行きについても「少しずつ回復し2019年度実績程度までもっていきたい」と説明したではないか。厳しさを前面にした考え方を行ってきているが、営業との矛盾はどのように説明するのか。

(会社)昨年度は2019年度比で20%の落ち込みであり、今年度も3カ月目に入っているが、コロナの影響をもろに受けている状況であり厳しい現状に変わりはない。しかし、昨年度よりは10%ほど改善している状況であるが、先行きについては不透明であることからも楽観視できる状況にはない。

(組合)昨年度よりは改善しているとしているのに、何故年末手当が基準となるのか理解に苦しむ。営業の説明では回復を目指して行くとし、現下の状況が昨年度より改善しているのに昨年夏ではなく、年末を基本とすることは到底納得できるものではない。当初計画はコロナの影響を見ないものでしかなく、そこからの対比は意図的に経営状況を悪く見せるものでしかない。結局ベースの考え方も低い方から低い方へつないできているもので、2010年度からの期末手当が3カ月前後を繰り返している実態に現れてきているのではないか。11期連続の黒字の中においても2009年度の前年比0.725カ月分の削減や、2013年度も前年比0.8カ月の削減を行ってきたのが実態であり、社員犠牲を伴いながらの黒字確保であったと指摘しなければならない。

(会社)期末手当の支給月数は指摘の通りであるが、その時々の経営状況を鑑み、会社としての回答を行ってきたものである。決して社員の奮闘を見ていないわけではなく、社員犠牲だけで来たわけではない。

(組合)この間の人件費比率は25%程度で推移しており、社員への還元を行っているとは到底言えるものではない。完全民営に向けて国交省からは期待されたり、時期尚早と言われたり時々の状況に振り回されているのが34年の経営ではないのか。経常利益100億を目標にすることは否定しないが、一方で社員と家族の生活は置き去りしてきたのではないか。

(会社)100億円は株式上場を目指した上での目標であり、貨物会社が置かれている現状からも経営としては見ていかなくてはならないものであると考えている。

(組合)貨物会社の若手社員や、中堅を担う社員が悲痛の叫びを発していることに会社は危機意識を持つべきである。新しい人事制度でも家族手当が基準外になったことで、子育てや持ち家の取得を行う社員には大きな負担となっている。そうした社員の現状も会社は真剣に考えていかなくては、モチベーションなど上がらないのではないか。今年度も黒字確保に向け奮闘する社員に夏季手当で報いることが最も大切ではないか。

(会社)基準内賃金は人事制度で変更したことは事実であるが、その他の手当を上げてきたことからも相対的に見ることも重要ではないか。

(組合)昨年、また一昨年も夏季手当は数字の作りもあるが1.75カ月を支給してきた。また、昨年度はリーマンショック時のGDPより悪化した中で黒字を確保していることからも、会社体力はついてきているとみることもできるのではないか。繰り返すが減収の原因はコロナであることははっきりしており、コロナが収束すれば収入は元に戻ると経営幹部を含め発言している。0.1カ月の原資は約2億円弱としていることからも、国労要求の3カ月の支給は約25億円を判断すれば可能であり、内部留保は取り崩せないと会社は主張するが、判断した結果が内部留保に影響するだけのことであり、経営陣の判断次第である。昨年冬を基準にすることは到底納得できるものではなく社員の奮闘と、将来への展望を示すためにも再考を強く求める。

(会社)本日の貴組合の主張については再度経営に伝えたい。

以上